Last Updated : 2001/10/24


AO-40 用 80cmφパラボラ

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80cm Dish System for AO-40
Fig.1 システム全体図

新潟の JHφTOG 吉田 OM のご厚意で、80cmφのメッシュ式のパラボラ(Dish) を提供していただきました。これに「適当に」作ったフィードを組み合わせて、2001/7/28〜29 の AO-40 (orbit#342) に QRV してみました。

1. パラボラ本体 (Dish)


Fig.2 アンテナ固定部分

Dish は、中心に 26mmφの鉄パイプがあり、金具を介してアルミ製の基部BOXが固定されています。Dishは12本のアルミパイプで放射状に支持され、外周にはアルミパイプのリムが使われています。反射板はステンレスのメッシュで、リムなどにはステンレスの針金で固定されています。

ブームとなる鉄パイプに左の写真の通りにクロスマウントを装着することで、アンテナベースに容易に装着することができました。これは、Dishの自作をする場合に、大いに参考になる構造ですね。また、アンテナのビーム軸を鉄パイプが貫通していますので、フィードへのケーブルはこのパイプの中を通すことができます。

フレームがアルミ製と言うこともあって、大きさの割にはかなり軽く、上の写真のようなアラキの三脚を使った仮設ベースでも、さほど不安定にはなりません。まあ、大風でも吹けばわかりませんけど…。

実際の装着の際は、支持ブームの片側に重量が寄りすぎていてアンバランスなため、鉄パイプの反対側にパイプを少々延長して、そこにカウンター・ウェイトを装備する予定です。現在はとりあえず「水を詰めたペットボトル」で代用しています (^ ^;)。


Fig.3-(1) リムの接続部分の拡大写真


Fig. 3-(2) 鉄パイプと基部BOXの固定方法イメージ


(7/29午後更新) カウンターウェイト機構を変更


(7/31朝更新) カウンターウェイトを水ダンベルに交換し、日よけを作成した。

2. 給電部(フィード)

とにかく手持ちの材料でできるものを、と考えました。Dish の焦点距離がおよそ 380mm、必要な放射角が約 110 度です。G6LVB Howard の G3RUH タイプヘリカルフィードの特性(AMSAT-BB投稿) によると、ビーム幅(-10dB)が 110 度以下となるのは、2.75 ターンです。そこで、マッチングセクション 0.25 ターンも合わせて3ターンの G3RUH タイプのヘリカルフィードを作ることにしました。

G3RUH のフィードについては、AMSAT サイトのこここんな図がありますので、それを参考に作ることにしました。材料は、反射板兼本体としてフランス産カマンベールチーズの空き缶、を、ヘリカルエレメントとして2mmφの銅線を、接続部分には(本当は N-R か SMA-R を使いたかったが手持ちの関係で)BNC-Rコネクタを使いました。Dish中心の鉄パイプから焦点位置まで延長するパイプには、手持ち八木の作成で余った18mmφスチロールパイプを使い、ビニルテープを巻いて鉄パイプの内径に合わせました。これで前後にスライドさせて焦点位置を調整できるようにします。ヘリカルを巻く時は 32mmφの棒を使い、そこに銅線を巻いた後で少し巻きを戻して40mmφにしました。ピッチは適当です (^ ^;)。

さて、これが実際に出来上がったフィードです。


Fig.4 G3RUHタイプの2.75ターンLHCPヘリカルフィード - チーズの空き缶利用.

見ての通りですが、測定機器が無いので作りっ放し、調整などはしていません。缶とスチロールパイプ、BNCコネクタと缶の間の浮いた部分、ヘリカルのマッチングセクション等、動く/浸水するとマズい部分には5分硬化型のエポキシ接着剤を盛りました。

缶の底にはスチロールパイプを通す穴があけてありますので、同軸ケーブルはこの中を通すことができます。ただし BNC-P 等ではコネクタの直径が大きすぎてパイプを通りませんので、プリアンプ(コンバータ)への同軸ケーブルの先端は SMA-P とし、それに合うように同軸ケーブルは 3D-2V としました。プリアンプまで 90cm ほどあるので、もっと低損失のケーブル 5D-FB 等が使いたかったのですが、5D 用の SMA-P は市販されていませんしね (^ ^;)。まあ、実験用ですし、本番ではフィードとプリアンプとは直結させる構造のものを作るつもりなので、まあ今回はこれで良いかと。

3. 運用成果

焦点位置を AO-40 からの S2-MB を受信しながら調整してみましたが、ピークがどこにあるのかあまり判別できず、結局、Dishの底から反射板の位置まで 386mm となりました。

このアンテナを使って、S2-MB を受信しながら AO40RCV の画面キャプチャを取得してみました。

(1) 1時間毎の S/N の変化


Fig.5 S2-MB の S/N の変化

MA=15 の地球に割と近い位置から、1時間毎に取得した結果です。AO40RCV のこの画面の縦軸は約 10dB ですので、ここでは S/N は約 35dB あり、2時間後でも 30dB あることがわかります。これなら -10dB の信号でも S/N 20dB で受かる計算です。実際、IC-821 のSメータは9まで振っていて、ダウンリンク帯の SSB の信号が多数、Sメータを振る状態で非常に明瞭に聞こえていました。

(2) アンテナの性能比較


Fig.6 アンテナの性能比較図

次に、プリアンプの有無と、今まで使っていた29エレループ八木/TDK 45cm Dish との性能比較をやってみました。図中の「S=」は IC-821 のSメータの振れです。ご覧の通りで、Sメータでも S/N でも、80cm Dish の性能の高さがわかります。29 エレループに比べても +5dB 程度もの改善です。

ただ、テスト前は「もっと差がつく」と思ったのですが、さほどでもありませんでした。測定時点で SQA は十分に低かったのですが、アンテナが完全手動追尾のため、うまく衛星に正対していなかったのかも知れません。

80cm Dish で、プリアンプの有無でSメータの指示が同じなのは、プリアンプ使用時にはノイズフロアを下げるためにアッテネータを挿入していて、結果としてSメータの触れが変わらなくなったからです。Sメータの触れだけを見ていると「プリアンプの効果なし」と思えてしまいますが、実際にS/N比のデータを見る限り、プリアンプのおかげで 5dB ほど S/N が改善されています。

なお、右端の TDK 45cm Dish の性能の悪さが際立っています (^ ^;) が、これはフィードに使用している 2 ターンヘリカルの出来が良くなく、またビーム幅も適切でないためだと思います。F/Dの小さな深いセンタフィードDishには、反射板つきターンスタイルなどの、ビーム幅が 160 度近くあるようなものが必要ですね。

4. パッチフィードの試作 (2001/9/4追加)

80cm Dish を使いつつ、何か他に良いフィードはできないものか、と考えていましたところ、JAMSAT-BB に 7N1JVW 藤田さんの試作されたパッチフィードが紹介されていました。非常に単純な構造で製作も容易そうで、早速マネをして1つ作ってみました。


Fig.7. 試作パッチフィードの外観


Fig.8. パッチフィードの構造

概観と構造は図の通りで、100円ショップの鉄製小物入れのフタを利用し、銅板の切れ端と SMA-R コネクタを使ってデッチ上げた「迷品」です。

これを早速 80cm Dish に付けて実際に使ってみたのですが、性能的には十分、とは言うものの、チーズ缶フィードに比べて若干弱いのです。Sメータの振れからして、2〜3dB でしょうか?。


Fig.9 パッチフィードとヘリカルフィードの比較

さて、2001/8/31〜9/2 にパシフィコ横浜で開催されたハムフェア 2001 の会場で、JARL技研による出張測定サービスがありました。私もこのフィードを展示用に持参していたので、リターンロス測定をやってもらったところ、次のような結果でした。


Fig.10 パッチフィードのリターンロス特性

ご覧の通りで、共振周波数(fo)が 2370MHz と 30MHz 近くも下になっています。藤田さんの 57.2x57.2mm の試作では fo は 2390MHz で、それを見込んで 57.0x57.0mm で作ったのに、周波数は逆に下がってしまいました。これだけズレると、非常に微妙な周波数関係を利用して円偏波を出しているパッチフィードですから、きれいな円偏波が出ているとは限りません。ヘリカルに比べて2〜3dB弱いのは、円偏波がうまく出ていなかった事によるのではないでしょうか?。

推測ですが、パッチフィードを取り囲むように存在する缶のフチ、これがエレメントに対して大目の容量性を与え、それが結果として共振周波数を下げてしまったのかも知れません。フチを切り取るか、あるいは切り開いて広げるかすれば、違う結果が得られるかも知れませんね。

5. ヘリカルフィード2号機への更新 (2001/9/4追加)

パッチフィードが思いのほか性能が良くなかったので、しばらくチーズ缶のヘリカルフィードで運用していたのですが、ある日 Web サーフィンをしていて、3D-2V の 2400MHz の損失が 1m あたり 1dB 近くもある、と言うデータを見つけて愕然としました。チーズ缶フィードの給電点からプリアンプの接続点までは、3D-2V 約 90cm で配線をしていますから、システムの NF を決める大事なプリアンプ前の部分で 1dB 近い損失が発生して、せっかく NF<1dB のプリアンプを使っているのにその効果を打ち消してしまっている訳です。これは大変です。

そこで、フィードの給電点のごく近いところにプリアンプを装着することを目的に、ヘリカルフィード2号機を試作してみました。


Fig.11. ヘリカルフィード2号機

基本的な構造はチーズ缶利用のフィードと変わりません。給電点のマッチング回路は G3RUH 方式です。缶にはパッチフィードでフタを流用してしまった小物入れ本体を利用しました。また、プリアンプを給電部そばに配置して同軸の損失を極力抑えるようにしました。構造上、チーズ缶フィードと交換しての測定ができないため、比較はしていませんが、かなり耳が良くなったように感じます。


Fig.12. リターンロス特性の測定

せっかくなので、これもハムフェア会場で JARL 技研の測定サービスで測ってもらいました。が、結果はご覧の通り、リターンロスがわずか 6dB (SWR=3.0) しかありませんで、マッチングに失敗しています。会場でとあるOMに指摘されたのですが、マッチングセクションをエポキシ接着剤で固めてしまったことで誘電率が変化し、せっかくのマッチングセクションが設計とおり機能していないようです。

まあ、6dB なら無駄になっているパワーは 25% で、75% のパワーは取得できている訳ですので、まあこれでもなんとか動作しているってことでしょうね。また、さすがに非共振タイプのアンテナ、帯域特性が非常に広帯域です。測定は 2300〜2500MHz でやってもらいましたが、思い切って 1000〜4000MHz 位の広い範囲で測ってもらった方が良かったかも知れませんね。

6. 焦点位置の測定 (2001/9/4追加)

寸法から計算した焦点距離が 391mm になるべき 80cm Dish ですが、実際にフィードの取りつけ位置をズラして受信比較をしてみると、もっと手前に強くなる位置があります。そこで、Dish 表面にアルミ箔を貼って太陽に向け、太陽光が集まる焦点を探してみることにしました。


Fig.13. 焦点位置を探る

陽光のやや翳る薄曇りの週末に、Dish の半面にアルミ箔を貼り、フィードの代わりにスケールを立て、手のひらをかざして、一番熱く感じる距離を探ってみました。結果、340mm の位置の前後 50mm あたりにピークを感じました。やはり、焦点は計算より近い位置に出ていました。

とは言え、焦点位置はかなりぼやけていて、この Dish の精度がかなり甘いものであることも伺えます。まあ、実測結果の方を信じて、340mm の位置付近にフィードを取り付けることにしました。

7.プリアンプ装着方法の変更と防水 (2001/10/24追加)

短いとは言え、フィードの給電点からプリアンプまで同軸ケーブルの配線が入っている方法では、この部分の損失が受信性能に与える影響が気になります。まして、私が使っているのはジャンク品の両SMA-Pケーブルですから…。そこで、プリアンプの装着方法を変えてみることにしました。SMAP-SMAP ケーブルの代わりに、秋月電子の通販で手に入れた SMAP-SMAP変換アダプタを使って、フィードの給電点とプリアンプとを直結させるのです。

また、ポリ袋を被せるだけと言う簡易防水体制についても、あわせて改善を考えました。当初は、太い 1.5 リットルの PET ボトルを切って、プリアンプの部分にすっぽり被せるつもりだったのですが、缶の直径が 1cm ほど PET ボトルより太くて、うまく被せられないんですよね。で、ふと目に付いたのがコーヒー(豆)の缶。うまい具合に直径もピッタリ、長さもプリアンプを隠して十分あります。

そこで、こんな風にしてみました。


Fig.14. プリアンプ取付方法変更と防水カバー

…ううむ、あ、怪しい (^^;)。

このコーヒー缶のカバーですが、プリアンプの着脱のためには、接着してしまう訳にはいきませんので、とりあえずフチをビニルテープで巻いて装着しました。が、PET ホトルに比べるとかなり重いので、フィードの反射「缶」の固定部分にかなり負担がかかるようです。案の定、半月ほどするとビニルテープの固着が外れてしまいました。

そこで、7N1JVW 藤田さんがオフセット Dish の給電部の防水に使っていた、タッパを被せる方法を試してみることにしました。藤田さんのカバーはヘリカルアンテナの防水用ですが、私はこれをプリアンプの防水用に使います。


Fig.15. タッパによるプリアンプ防水カバー

タッパの素材であるポリエチレンやポリスチレンは、接着剤が効きません。そこで、底の深いタッパのフタをフィードの缶にネジ止めして固定し、タッパの本体でプリアンプ部分をすっぽり囲む形で、フィードの缶に固定する形を取りました。プリアンプがうまく収納できる適当なタッパがなかなか見つからず、ちょっと幅の大きなものになってしまいましたが、缶よりは軽いし防水もしっかりしていて、しかも着脱自在です。

タッパではなくて、マクドナルドのLサイズのドリンクのカップとフタを使ってみようとも思ったんですが…やはり耐久性がねぇ…。

8. 今後の計画

80cmDish にしてから、ビームの幅が狭いおかげで、30〜40 分毎にアンテナの方位を調整しないとうまく受信できなくなりました (^ ^;)。仰角ローテータを使えば話は早いのですが、何しろ貧乏ハムですからそんなオカネは出ません。近日中に、ポーラー・マウント方式(EME 等で使われている、ローテータ1個で可能な追尾方式。AO-40は軌道傾斜角が低いので利用できる)による遠隔追尾を実現したいと思います。


by Yoshihiro Imaishi JF6BCC/KH2GR
mailto:jf6bcc@jarl.com

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