Last Updated : 2003/12/30


コンバータ給電用格安DCスプリッタの作成

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1.同軸重畳給電にはDCスプリッタ(インサータ)が必要

ドレーク 2880 改造コンバータや K5GNA 改造 AIDC-3731 コンバータを使って AO-40 に出る準備をする際、ひとつクリアしなくてはならない問題があります。それは、コンバータへの給電方法です。

AO-40 のS帯受信用のコンバータの改造ベースとなる MMDS コンバータは、アンテナ直下に設置して動作させる必要がありますが、室内の受信装置から、同軸ケーブルとは別に電源ケーブルを配線するのは、設置コストがかさんでしまい不適切です。そこで通常、同軸ケーブル1本のみで接続し、コンバータの動作に必要な DC 電源は、同軸ケーブルに重畳給電するスタイルを取ります。コンバータ内部で、コイルとコンデンサを使った簡単な分配回路によって、高周波と DC とを分離して使用しているんですね。

さて、改造コンバータを使用する場合も、できれば同じように同軸重畳給電をしたいものです。が、コンバータで変換された中間周波数を受信する親受信機は、AO-40 の場合は普通のアマチュア無線機です。一部、マストマウント・プリアンプの駆動用電圧をアンテナ出力に出すことが可能なモデルもありますが、そういう機能が無いモデルでは、何らかの形で、コンバータからの同軸を親受信機に接続する直前に、DC 電源を重畳給電してやる必要があります。そういう場合に使うのが「DC スプリッタ」あるいは「DC インサータ」と呼ばれる装置、あるいは回路です。

DC スプリッタの回路の一例として、左の回路図をご覧下さい。回路の左側が親受信機、右側がコンバータです。コンデンサによる直流カットと、コイルによる高周波カットを利用して、下側から供給する DC 電圧をコンバータに供給すると同時に、コンバータからの高周波信号は左の受信機方向にだけ通そうと言う訳です。結構、単純ですよね。コンバータ側に入っているのも、基本的にはこれと同様の簡単な回路です。

左のCやLの定数ですが、使用する周波数帯によって多少変わってきます。ただ、VHF 帯で使う分には、この程度の数値で問題なく使えますね。コイルは適当な銅線またはエナメル線を、直径 6mm 程度で 10〜15 回巻いたものです。

こういう DC スプリッタの市販品ってのは、実はあまり見かけません。同軸重畳給電をする必要のある機器はだいたい、同軸重畳給電機能を内蔵した室内装置とペアで使われることが普通で、わざわざスプリッタだけ別に用意すると言うことが殆ど無いからです。まあ、例えばミリコムの製品にこんなのがありますが、\5,800- ですから結構高いですよね。

回路は簡単なので自作するのも手なんですが、中核となる部品はコンデンサ2個とコイル1個で安くつくとしても、収納するケースの値段や接続コネクタの値段、加工する手間とかを考えると、ちょっと躊躇してしまいます。

2.ジャンク品を利用して簡単に作れる

ところで、MMDS コンバータは TV の受信用ですから、接続されるケーブルは 75 オーム系で、コネクタもF型コネクタであることが普通です。となると、TV 用のアンテナ周りの小物のジャンク品に、何かしら利用できるものがあるかも知れませんよね。

さて、近くのハムショップに遊びに出かけた時に、右のような品物がジャンク品として籠に山積みになっているのを見つけました。TV 用のアンテナ配線用の小道具で、VHF アンテナからの 75 オームケーブルと、UHF アンテナからの 200〜300 オームリボンフィーダとを混合して、TV や VCR などの 75 オームアンテナ端子に接続するためのアダプタです。Fコネが VHF 側、ネジ2個が UHF 側で、伸びてる短いケーブルが混合出力、先端はFコネです。お値段はわずか200円。この種のアダプタは、普通に DIY 店のTVコーナに行けば売っていますが、普通は800円程度のお値段がついてるものです。

…これ、使えそうですよね?。ケースの内部空間は結構広そうですし、Fコネが2個もついてますし、UHF 側のネジはそのまま DC 12V を供給する端子に流用できそうです。短ケーブル+Fオスを受信機側に、Fメスをコンバータ側にすれば、コンバータからの同軸を接続するのも簡単です。

さっそく改造してみることにしました。

まずはフタを外します。プラスチックケースの合わせ目にカッターナイフを刺し込んで、あいた隙間に細いマイナスドライバーを差し込んでコジりますと、パクンと言う音がしてフタが外れました。フタは4つのツメで固定される仕組みになっていました。もし接着されていたらこう簡単には行かないのですが、ラッキーです。

フタを開けてみますと、UHF 側の端子からのピンが基板にハンダづけされていて、基板を取り外すことができません。そこで、左の写真下側2箇所の接続点をハンダ吸い取り線で外し、基板とケースを分離してみました。

基板のケース側は、右の写真のようになっていました。コイルとコンデンサによる VHF/UHF の分配回路と、75-300 オーム変換トランスが乗っていました。使えそうな部品は…ううむ、コイルは巻き数が少ないし、コンデンサは数 pF 程度の容量しかありません。

残念ですが、基板上の部品は全く使えませんので、思い切り良く、全部取り払ってしまいましょう。ハンダ吸い取り線と 40W コテ、ラジオペンチを使ってサクサク外していきます。外した結果が左の写真です。

この基板、せっかくプリントパターンがあるのですから、これをうまく使って、冒頭に紹介した回路を組んでしまうのが得策ですね。

では、ジャンク箱を漁って改造用パーツを調達です。まず、高周波を通しつつ DC をカットするためのコンデンサは、高周波特性の良いセラミックタイプ、耐圧 50V の 0.001uF (103) を使うことにしました。コイルは 1mm 径の銅線をドライバーの軸で巻いた、内径 5mm で巻き数 12 回のものを作りました。DC 端子の平滑用には、フィルムコンデンサの 0.01uF (104) 50V? のものを使うことにしましょう。えっと、これで必要な部品はオシマイです。おお、格安じゃん。

プリント板上のパターンを見ながら、適当な配線穴を利用して部品を配置しました。UHF 端子に接続される2つの端子(左の写真の右側2つの白い丸)は、上側がプラス下側がマイナスの電源供給端子となります。青いのが 0.01uF のフィルムコンデンサ、茶色のが 0.001uF のセラミックコンデンサ、横に長いのがコイルです。

この回路で、DC 電源端子からの DC 電圧はコイルを経由して左のFコネに直結され、コンバータへの電源となります。また左のFコネからコンバータ出力信号が入り、茶色のセラミックコンデンサを経由して下の同軸へ、つまり親受信機へ信号が出て行くことになります。

組み立て後、テスタで動作確認です。DC のプラスとマイナス端子間に導通なし、DC プラスとFコネのセンタピン間に導通あり、DC プラスと黒同軸の中心導体間に導通なし、アース側は全て導通あり、OKです。

バラしたのと逆の順序で組み立てます。基板をケースに入れ、UHF 端子ピンをハンダづけし、最初に外したフタをはめる…、以上!。

UHF 端子は外観ではどちらがプラスかマイナスかわかりませんので、赤と黒の油性ペンを使って、ネジの頭を塗り分けておきました。赤いほうにプラス、黒いほうにマイナスを接続します。

これで格安 DC スプリッタの完成です。部品代は、ベースのジャンク品が 200 円、コイルとコンデンサは手持ち部品を使いましたから追加出費なしですが、新規に買っても 100 円程度でしょう。使用したハンダ吸い取り線が 10cm ほどで… 20 円かな?。ハンダも 5cm ほど使いましたが 10 円にもならんでしょう。作業時間が約 90 分、40W ハンダゴテの電気代は…これも 10 円とか 20 円とかだと思います。しめて 330 円くらいかな。

まあ、90 分間の人件費とか技術料とか(そんなたいそうなものじゃないですが) を考えれば、ミリコムのスプリッタが高いとも言い難いところですが、やはりそこはアマチュア、自分で作れるものなら作ってしまいましょう Hi。

なお、こういうスプリッタがあれば、電流通過型ではない ATT など ( 6dB 固定のこんなのとか、20dB 可変のこんなのとか) を受信機に接続する時に役に立ちます。受信専用で電流通過型でない ATT は、ヘタに DC 電圧をかけると焼けますから…

3.改良点とか

別にこれ以上改良しなくてもいいとは思うのですが、

…とか。

難点としては、回路がシールドされていないので、このスプリッタが IF 周波数への外部からの飛び込みの原因になるってところでしょうか (- -;)。都市部で 2m 出力のコンバータなんかを使っていると、145.340MHz あたりの地上波の通信が AO-40 の受信に干渉してきちゃって困るかも知れません。まあ、全体をアルミホイルで包むとかすればある程度防げるかも。

4.販売計画とか (^^;)

一応、同じジャンク品をあと7個買ってきたので、2004年2月8日の西ハムで、改造済みの奴を売ってもいいかな、なんて考えてます。ただ、元値は安くても、改造に時間がかかるんで、準備できないかも知れません。そのときは改造ベースの混合器と改造用部品のセットだけにするかな。


by Yoshihiro Imaishi JF6BCC/KH2GR
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