Updated at 17th. Feb.. 2002


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JF6BCC の FT-817 レポート(2)
東京ハイパワー社製 HL-750 を FT-817 に使う


Photo 1. FT-817 の下に敷いた HL-750

2000年9月末の発売依頼、抜群の売れ行きで、世界的にも有名になった FT-817、コンパクトなボディで電池運用が可能、しかも HF〜430 フルカバーで移動運用に便利と、発売から1年半過ぎた今でも、バリバリの売れ筋商品のようですね。…とは言え、うちのように「HF機がFT-817しか無い」貧乏ハムには、いつでも 5W でしか運用できないと言うのは、つらいものがあります。上級資格もあるのだから、200W いや 100W とは言わないが、できればこいつで 50W の移動運用をしたいと思うのは、私だけじゃなくて「無銭家」のFT-817オーナーの皆さんは同じなのではありませんか?。

え?、FT-817 の QRO 運用は邪道?。…ごもっともですが、そういう人には以下の記事は役に立ちませんから、こちらへどうぞ (^ ^;)。

発売元の八重洲無線(スタンダード)では、FT-100D と言うコンパクト 100W 機も作っているせいか、FT-817 用の移動アンプを製品化する予定は無いみたいですが、東京ハイパワー社HL-50B と言う 3.5〜50MHz 帯の WARC を含む全バンド用 50W アンプを発売していますから、これを買ってしまえば (1.9MHz と 144/430 は別にして) 問題は解決!。事実、そうやってる方も少なくないかと思います。…ても、4万円もの出費は、私にはちょっとつらいんですよね。

とまあ、日々そういうことを考えてたのですが、先日ヤフーオークションで、東京ハイパワー社の HL-750 と言う、7/21/50MHz 3バンドの 50W のアンプの中古を \14K で手に入れることができました。これは、同社から昔発売されていた HT-750 と言う、ミズホのピコシリーズを大きくしたような 7/21/50MHz の 3W ハンディ機用のオプションとして発売されていたもです。3バンドのみとは言え 50MHz 帯もあるし、多分、中身は「広帯域アンプ+切り替え式LPF」の構成で、LPF さえ何とかできれば他バンド用に改造するのも難しくないかも知れない、と考えて手を出した訳です。


1.さっそくフタを開けて内部を確認


Photo 2. 内部回路

筐体のサイズは 150 x 47 x 184 (突起別) で、FT-817 より一回り大きく、FT-100D をほんの少し小さくした程度の体積ですね。重さは 1.3kg ですから電池入りの FT-817 と大差ありませんが、このアンプを山岳移動運用で使うことはまず無いので、多少重くても構わないでしょう。

※HL-50Bは大きさも重さも大差ありません。お金持ちの方は HL-50B をどうぞ (^ ^;)。

消費電流は最大 8A、とカタログにあります。FT-817 とあわせて 10A 程度の容量の電源でカバーできそうです。自動車のバッテリなら十分そうですね。

写真内の (1) は入力信号を減衰させるアッテネータ、(2) は広帯域アンプの出力からスプリアスを除去するための LPF、(3) が広帯域アンプです。

また、この製品は、キャリア・コントロールによる送受信切り替え機能を持っているのですが、HT-750 からの送受信切り替え信号を受けて送受信を切り替える動作を前提にしているためか、キャリコンに必要な復帰遅延動作の時定数調整ボリューム (4) を絞りきっています。このままでは SSB/CW の運用時に送受信がバタつきますので、FT-817 で使うには調整が必要ですね。また、この製品には外部スタンバイ端子が出ていないので、FT-817 の ACC 端子からのリモートコントロールをしたければ、改造が必要になりそうです。

広帯域アンプと言っても、そのままだと周波数によって増幅利得が異なります(通常、低い周波数ほど増幅利得は高い)。が、親機に使う無線機はバンドが違っても出力は同じなのが普通ですから、これでは具合が悪くなります。で、一般のHF帯マルチバンドの外部アンプでは、ALC 回路によってアンプの増幅利得を平均化し、3.5MHz でも 50W でも同じ入力で規定の出力を出せるようにするのが普通です。しかし、この製品では3バンド用と限定されていることからか、調整の複雑な ALC 回路ではなく、バンド毎に入力アッテネータの減衰量を切り替える方式を採用しているようです。(1) のアッテネータ横のリレー2個が、その切り替え用として使われています。

右の写真が (1) の入力切替アッテネータです。2つの 50 オームπ型減衰パッドで構成されています。動作内容を表にまとめました。
動作表

減衰量(実際)

(回路図上)

7MHz帯

21MHz帯

50MHz帯

ATT-1

2dB

4.5dB

ON

OFF

OFF

ATT-2

5dB

2dB

ON

ON

OFF

トータルの減衰量

7dB

5dB

0dB

製品付属の回路図に記載されている部品の定数と、実装されている部品の定数が異なっていましたので、当初の設計時に使われていた部品が、途中から特性が変わって 21MHz 帯の利得が上がってしまい、そのため微調整が行われたのかも知れませんね。

7/21/50MHz以外の周波数用に改造することを考えた場合は、この値を変更して、目的の周波数帯で必要な減衰量が得られるようにする必要がありますね。あるいは、FT-817 の側で出力を調整するとか。…考えてみれば、7MHz 帯は 3W 入力を -7dB の 0.6W にまで落として利用している訳です。FT-817 の出力を落として発熱を減らすために、あえてこの入力 ATT の減衰値を変更すると言うのも、考えた方がいいのかも知れませんね。


Photo 3. 入力アッテネータ(ATT)


Photo 4. 出力LPF回路

こちらは (2) の出力 LPF です。3バンド分が並び、リレーで切り替えて1つが選択される仕組みになっています。回路はπ型 LPF が2個直列になったもの、回路図のコンデンサの定数から推測して、入出力とも 50 オーム整合タイプのようです。

ここと (1) の入力アッテネータ回路以外には、周波数帯に依存する部分が見当たりません。つまり、アッテネータの定数とこの LPF を、目的の周波数帯用のものに変更することによって、HL-750 は任意の3バンド用アンプに改造できる可能性があると言うことですね。また、LPF の入力インピーダンスが 50 オームであると言うことは、LPF をスルーに改造した上で、外付け LPF を取りつけることによって、3バンド以上にも対応できる可能性がある、と言うことになります。

2.回路図を検討する

私はローバンドの混雑が嫌いなのと、CW があまり得意でないことから、1.9〜10MHz 帯へ QRV することはあまり考えていません。また、HL-750 は 7/21/50MHz 用の製品ですから、広帯域アンプといっても 7MHz 帯を下限に設計しているかも知れず、その場合は 1.9/3.5MHz 帯への改造が LPF 変更だけでは済まないかも知れませんしね。改造先は 7〜50MHz のどこかにすべきでしょう。また、18/24MHz 帯は空いていますから、アンテナ次第で 5W で十分楽しめるでしょうから、無理に 50W 化する必要は無さそうです。で、21MHz と 50MHz は私も割と好きなバンドですから、HL-750 のこの2バンド分はこのまま残すべきでしょう。

となれば、改造の方針は、私にとって必要の無い 7MHz 帯を、14MHz または 28MHz 帯のどちらかに改造すること、になります。


Fig.1 LPF の 7MHz 回路図

では、ちよっと回路図を見てみましょう。左は出力 LPF のうち、改造対象となる 7MHz 部分です。2組のπ型 LPF が2つ、シリーズに並んでいます。L2 と L3 は、部品の形状と巻数からして同じ定数を持っているようです。

…ん?。C21,22、C24〜27、C29,30 は全て、同じ定数の部品が2個並列になっていますね。

14MHz は 7MHz のちょうど倍です。つまり、部品の定数はちょうど半分でいい計算になります。ってことは、2個並列になっている固定コンデンサを1個ずつ除去し、L2/3 をほどいて巻き数を半分に減らし、C23 と C56 だけ容量が半分のものに交換してやれば…、それだけで 14MHz 帯に改造できるんじゃないでしょうか?。仮にここを 28MHz 帯にするなら、定数を 1/4 にしなくてはなりませんが、その場合は部品は全交換になるし、コイルもコアの対応周波数帯が不明なだけに、巻数を 1/4 にするだけでは対応できそうにありません。実際、21MHz 帯に使われているコアは、7MHz 帯のものとは色が違いますからね。

 

では、LPF を 14MHz 帯用に改造した場合、28MHz 帯はどうしましょうか?。

HL-750 は 50MHz 帯用のポジションを持っていますが、その広帯域アンプの出力側についているのは BPF ではなく LPF です。原理的には 50MHz の LPF なら 28MHz は通ってしまう訳です。だったら 50MHz ポジションで 28MHz を通してやれば…。いやいや、そういう単純な問題ではありません。50MHz の LPF では 28MHz のスプリアスを十分に防げないので、法律違反になる可能性があるからです。50MHz と 28MHz では増幅利得の違いが約 3dB ほどありそうだ、という問題点もありますね。

…でも、増幅利得については入力電力を FT-817 の方で絞ってやれば解決します。ってことは、問題はスプリアスだけ?。だったら、外付け LPF で対応できるかも知れませんよね。つまり、左の図のように、28MHz 帯用の外付け LPF ユニットを作って、28MHz 帯で運用するときはそれを装着して 50MHz 帯用の設定で使うんです。ただし、50MHz より 28MHz の方が 3dB 程度利得が高いでしょうから、FT-817 からの電力は 50MHz の半分程度、1W くらいに絞ってやる必要がありますね。


Fig. 2 14/21/28/50 4バンド対応システム図

あ、28MHz帯用だったら、わざわざ自作しなくても、安く販売されている HF 帯用の 30MHz LPF ユニットで十分かも?。市販品は 100〜200W 耐入力のゴツいものが大半ですが、今回の場合は山岳移動に使うわけではないので、体積と重量はさほど考える必要は無いですしね。また、もともと TVI 対策のことを考えれば、30MHz LPF は 28MHz 帯の運用に限らず、常に装着しておいた方がいいとも言えます。だったら、30MHz LPF を装着した状態で 28MHz のスプリアスが合法レベルであれば、それでいいって話にできますよね。

決まり!、7MHz を 14MHz に改造し、28MHz は外付け LPF で対応することにしましょう。


Fig.3 バンド切り替え制御回路

次は、バンド切り替え制御回路の動作を追ってみます。HL-750 にはバンド毎の独立した切り替えスイッチは無く、1つのプッシュボタンで切り替え動作が行われますし、HX-750 からアンテナ端子を通じてバンド切り替えが可能です。と言うことは、何やら特殊なバンド切り替え機構を持っているはずです。

で、左の図のように回路を追ってみて判明したのは、HL-750 は、親機入力のアンテナ端子にかかる直流電圧を見て、自分が動作すべきバンドを判断していると言うことです。図では、アンテナ端子からの入力が入る AUTO モードではなく、全面パネルからの操作でバンドを切り替える MANUAL モードでの動作を書いてありますが、バンド切り替え回路に対して、約 5V が直接かかっているときは 21MHz4V なら 7MHz、そして 3V なら 50MHz になるようなのです。そして、その動作点調整が VR3 のようです。

でも、アンテナ端子に常時電圧がかかっているとしたら、送受信切り替えはどうやっているのでしょう?。そこで送受信切り替え回路を見てみました。

右の図では、MANUAL 動作の場合、キャリコン回路で整流された電圧を入力に使っています。キャリコンが想定している入力電力は 0.2〜3W だそうですから、50 オームの負荷の両端に現れる電圧は E^2=50P から計算すると平均 3.2V〜12.2V、PEP で 4.5V〜17V となります。送受信制御 IC の入力インピーダンスが十分に高ければ、抵抗で分圧された PEP 電圧の半分 2.2〜9V が、キャリコン回路の出力として取り出せることになります。ん?2.2〜9V?、それではバンド切り替えの電圧と重複してしまい、区別がつきませんね。どうするんだろ?。

いやいや、AUTO は HT-750 の専用モードで、キャリコン回路は使われないのだから、キャリコン回路の最低検出感度である 0.2W には、こだわらなくていいんですね。それに、MANUAL 時には、バンド切り替え回路は親機とは切り離されている訳だし。…ってことは、おそらくこういう事なんでしょうね。

  • AUTO 時、送受信制御回路は、アンテナ端子に +2.2V以上の電圧がかかったときに送信動作に入る。おそらく HT-750 からは、電池電源による 8V 程度以上の電圧が、送信時に直接出てくるのだろう。
  • バンド切替制御回路の方は、アンテナ端子に 3〜5V の直流電圧がかかっている時は反応して、電圧帯によってバンドを切り替える。ただし、6V を超える電圧がかかった場合には反応しない。

つまり、FT-817 で HL-750 のバンド切替を自動でやろうとするならば、送信時 +8〜12V、受信時は選択バンドごとの 3〜5V の電圧が出るような付加回路を作ってやる必要がある、ってことなんですね。


Fig.4 送受信切り替え回路

うわあ、やめやめ!。こんな複雑な回路を実現しなくても、マニュアルで切り替えればいいじゃん (- -;)。どうせ WARC バンドは使えないんだしさ。検討中止!

送受信の強制スタンバイについては、アンテナ端子に送信時に電圧を重ねることでできそうです。ただ、残念ながら FT-817 側にその機能がありませんね。キャリコン動作でも不都合は無いとは思いますが、もしやるとしたら、Fig.4 の制御 IC の1番ピンから線を出して、トランジスタ1個でインバータを作り、Remote 端子の空きピンに配線し、FT-817 の ACC 端子出力に出ている TX GND 端子と接続するような改造を HL-750 でしてやれば、可能ですね。


3.改造実施!(編集中)

強制スタンバイは後日考えるとして、7MHz ポジションの 14MHz 化と、入力 ATT の 14MHz 対応化解像をしてしまうことにしましょう。

7MHz に対して 21MHz の増幅利得が -2dB であると言う事実から、14MHz の増幅利得はおそらく 7MHz の -1dB でしょう。とすると、ATT-1 を 2dB から 1dB に改造するだけでいいことになります。

動作表

減衰量(修正)

(改造前

14MHz帯

21MHz帯

50MHz帯

ATT-1

1dB

2dB

ON

OFF

OFF

ATT-2

5dB

5dB

ON

ON

OFF

トータルの減衰量

6dB

5dB

0dB

1dB のπ型 ATT Pad は、計算では並列が 910 オーム、直列が 5.6 オームです。現在の 430 オーム2個を除去して 1K オーム 1W 2個にし、24 オームが2個並列で 12 オームになっているところに、更に 24 オーム2個を並列…いや、みっともないから、やっぱ除去して 5.6 オーム に交換しちゃうのがよさそうです。

でも、たった 1dB ですよね?。電力比で言えば 0.8 倍、このまま 2dB のままにしておいても、50W 出力が 40W にしかならないってことですし、FT-817 の出力を2割ほど上げてやれば対応できることになりますね。これは、LPF 交換後、実際の入出力特性を測定してから、改めて定数変更を考えた方が適切ですね。

 

 

 

4.28MHz のスプリアス特性を測定

 

5.結果

 

ただいま計画中です (^ ^;)。

 


Posted and Edited by 今石良寛 Yoshihiro Imaishi.
mailto:imaishi@dream.com

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