Updated at 18th. Oct. 2000


JF6BCC の衛星用アンテナ紹介
円偏波アンテナの実験

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1.円偏波アンテナ実験1号(a) (144MHz4エレクロス八木)

自宅の固定偏波アンテナと手持ち八木を実際に使ってみて、衛星からの電波の偏波面はかなり変化することがわかりました。Microsat 衛星は重力懸垂方式で、アンテナは常に地表に直立する方向に向く訳ですから、偏波面がころころ変わるとは思えないのですが、実際に数千キロを伝わってくる間に、電離層からの影響を強く受けてしまうようです。

そこで、クロス八木による円偏波アンテナを試してみことにします。

まずは 145MHz 用に、図(↑)の構成を計画しました。実用1号手持ち八木で採用した4エレ八木2組を交差させ、1/4 波長の位相差をつけて給電することで円偏波にできます。1/4 波長の 75 オーム同軸によるQマッチで分配器を作ります。1/4 波長の位相差は、アンテナの配置を物理的にズラしてつけることにします。

ただ、この方式だと、ブーム長が 180cm は必要になり、運搬するためには2分割を考えなくてはなりませんし、三脚でセットアップした場合には回転半径も大きくなってしまいます。そこで、1/4 波長の位相差は遅延ケーブルを使ってつけることにして、ほぼ同位置で4エレ2本を交差配置する方式(→)に変更することにしました。

また、当初は 3C ケーブルを分配器用に使うつもりでしたが、取り回しの楽な 1.5C に変更し、1.5D と組み合わせることにします。同軸の短縮率と、2本の八木の微妙な位置ズレを考慮して図の寸法としました。

製作にとりかかって2時間半後、とりあえず組みあがったアンテナの写真(←)です。

手持ち八木の時は軽量化のため、3mm 径のアルミパイプをエレメントに使用しましたが、クロス八木の場合、地面に置くだけでもエレメントに負荷がかかります。そこで少し部でも強度を上げるために、3mm 径のアルミ棒で構成することにしました。実際に、調整中に一回屋根から落としてしまい。エレメントが一部曲がってしまう事故がありましたが、棒にしておいて正解でした。パイプならきっと折れていたでしょうね。

ラジエタは 3mm の銅パイプ、2組とも同時に製作して同一寸法に仕上げました。ブームは 15mm 角材で、180cm のものを購入し 120cm にカットして使いました。

エレメントの固定方法は手持ち八木と同様、タイリボン止めです。ただ、2組の八木がほぼ同じ位置に組みつけられるので、タイリボンで締めつける作業は手が入りにくくて大変です。

→の写真は、分配&位相差ケーブルをとりつけたところです。実験時点でのものなので、まだ接続部分のハンダつけが剥き出しのまま、配線の整理もされていない状態です。ケーブルとラジエタとの接続には、サトーパーツの UHF フィーダー用コネクタを利用しました。


クロス八木のラジエタ2本の給電部分の拡大です。
手持ち八木と全く同じ構造で、ケーブルを交換
すれば単一偏波のシングル八木として使えます。
(←)組みあがった4エレクロス八木の SWR をアナライザで測定。写真では見にくいのですが 145.8MHz で 1.2 と良好。なお八木それぞれの単体では 1.3 程度になりました。

(→)2分配と位相遅延ケーブル。1.5C/1.5D を使って構成したので非常にコンパクト。無論パワーはかけられないが 10W 程度であれば問題ないでしょう。実験用なのでリグに接続するためのケーブルも 1.5D で 2m。

組みあがった4エレ八木を手持ちで支持して、10/6 17時過ぎの SO-35 に挑戦しました。この日 SO-35 は Parrot Repeater で動作していたので、145MHz のシングルバンドでアクセスできます。10W 送信で自分の信号が充分強力に返ってきました。うまく行っているようです。

UO-14 や AO-27 など Mode-J の FM レピータ衛星は、これだけでは無理で 435MHz の八木が必要です。とりあえず手持ち八木を使うことも可能ですが、せっかくなので 435MHz も円偏波のアンテナを使えるように、1本新調することにしました。


2.円偏波アンテナ実験1号(b) (435MHz6エレクロス八木)

続いて 435Mhz 用のクロス八木です。実用1号手持ち八木が完成して、実験2号のブームが余りましたので、これをブームに再利用して、jamsat のページで紹介されている6エレをクロスにします。なお、こちらは全長がさほど長くならないので、1/4 波長の位相差はアンテナの物理的配置でつけることにしました。

ケーブルについては 145MHz と同様に 1.5C/1.5D で構成しようと思ったのですが、実際の運用スタイルを考えた場合に、リグまでの同軸が 3m ほど欲しい事態が予想されるので、少々取り回しが不便になるものの、損失をフセグため 3D クラスを使うことにしました。

組みあがった写真がコレ(→)です。実験2号のブームで使った 91cm 長の角材を再利用しますが、既に開けてある穴を利用するにはブーム長が足りないため、穴は図(↑)の寸法であけなおしました。また、エレメントは 3mm 径アルミ棒で新調しました。ただし手持ちの材料の関係で、ディレクタ2組4本だけは 3mm パイプになってます。ラジエタは全体を銅パイプで作るつもりでしたが、銅パイプが不足したので一部真鍮棒を組み合わせました。手持ち部分にはUボルトの取りつけ穴をあけてあります。リフレクタとディレクタは輪ゴム、ラジエタはタイリボン止めで、構造は今まで作ってきた手持ち八木と全く同じです。

←2分配ケーブルと同軸ケーブル(3D-2V 3m)。

(←)アンテナ単体の SWR はほぼ 1。分配ケーブル装着時でも 1.2 と良好でした。

(→)分配ケーブルを装着してみたところ。

FO-29 衛星のデジトーカを実際に受信しているところです。衛星に対してアンテナを回転させても信号強度が変わりません。また、単一偏波動作時に比べ、原理的に -3dB になるはずですが、充分強力に受信できています。SO-35 が 10/11〜 で Mode-B になるので、それを利用して送信も試そうと思います。

3.円偏波アンテナ実験1号 - 設置状態

アラキの三脚を利用して、2つのアンテナをセットアップしてみました。

マストとスタックブームは、ホームセンターで入手した 91cm 長 32mm 径の 木材丸棒で、中央のクロスマウントはグラスファイバー製。それぞれの八木にはジャンク品のUボルトを取りつけてスタックブームに固定しました。クロスマウントの締め付けを緩くしておき、仰角は手で変えます。方位については自由に回転できます。

セットアップするそれぞれのアンテナです。左の 145MHz 4エレクロス八木は、地面に置くために一方のエレメントを畳んであります。
(←)スタックブームにモービルブラケットとテーブルを固定しました。無線機を固定し、メモと方位計算用のPDAをテーブルに置くことで、手で持つものはマイクだけで済むようになります。マストの頂部には100円ショップで買ったコンパスが貼りつけてあります。

(→)ご覧のように、展開するとかなり大掛かりなものになります。分解すれば全て 120cm 以内に収まるので、持ち運びできない訳ではありませんが、さすがに手軽さはありませんね。

現在、このアンテナを実運用で評価中です。シングル八木に比べて利得が -3dB になると言う難点もあり、また AOS 直後の衛星から数 Hz の QSB があるなど、色々と興味深い結果が出ています。いずれにしても、偏波面を気にしなくても済むのは便利です。


4.グレードアップ 10/18

145MHz側の4エレx2 ですが、しばらく使っていて、Mode-J 用アップンクのパワー不足を感じました。単体の4エレ八木が、推定で 6dBd 程度の利得しかないのに、円偏波化のために -3dB になっていることによるのでしょう。

そこで、ホームセンターで入手できる 180cm 長の角材をブームにし、その長さ一杯を使って6エレ八木 x2 にグレードアップすることにしました。6エレ単体の利得は推定で 8dBd、円偏波化で -3dB でもまだ 5dB の利得が期待できます。

写真(←)は組みあがったところです。435MHz 側は6エレのまま変更ありません。

エレメントの配置図(→)です。ブームと数本のエレメントを新調し、流用するエレメントの長さを調整した他は、4エレクロス八木のパーツをそのまま利用しました。エレメントの寸法は JAMSAT の Web ページで紹介されているものそのままです。

SWRはちょっとだけ高めの 1.3 です。


エレメントの固定部分

エレメントをブームに固定する方法も変更しました。

基本的に、ブームに空けた 3.2mm 径の穴に 3mm 径のアルミ棒(パイプを挿しこんでいる訳ですが、このままでは摩擦が効かずエレメントが脱落してしまうので、タイリボン(435MHz は短いので輪ゴム)で縛り付けるようにしていました。しかしこれだと、1本のエレメントを固定するのに30秒近くかかってしまい、4エレクロス八木単体を組み立てるのに4分以上かかってしまいます。

手持ち八木の場合は、偏波面をあわせるためにブームをクルクル回しますので、エレメントが脱落しないようにしっかり縛る必要があります。しかしクロス八木の場合、ブームは回転させません。であれば、重力方向に脱落しないような工夫さえしておけば、しばりつける必要は無い訳です。そう割り切って、左の図のような考え方で「ストッパー」を使い、ブームにエレメントを挿しこんでいくだけで済むようにしました。

なお、水平偏波側のエレメントは重力方向ーの脱落の心配は無いのですが、方位を合わせるときの遠心力や接触事故、中心出し作業などを考えて、垂直偏波側と同じ方式を採用しました。また水平と垂直側のストッパーの色を変え、ストッパー表面とブームにエレメント番号を書きこみました。これで、エレメントの長さを比較しなくても規定の位置にエレメントをセットできますし、アンテナの組み立て時間も大幅に節約できるようになました。

見た目はかなり大柄になりましたが、それなりの効果は上がったようで、何度か移動運用で使い、返り信号が安定することを確認しています。

しばらく、これを使って試してみます。

このアンテナについては、評価の結果をまた後日編集したいと思います。


Posted and Edited by 今石良寛 Yoshihiro Imaishi.
mailto:imaishi@dream.com

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